コミュニティ・レストラン>>日米エコ・コミュニティ・レストラン協働プロジェクト

 

  1. 日米エコ・コミュニティ・レストラン協働プロジェクトとは

  2. 日米NPO協働のプロセス

  3. 実施報告

  4. 日米NPO協働の成果と課題

  5. 日米NPO協働から学んだこと

  6. 今後の展開

  7. 報告書

 

1.日米エコ・コミュニティ・レストラン協働プロジェクトとは

特定非営利活動法人NPO研修・情報センターはこれまでの国内でのコミュニティ・レストランの活動に加え、2003年度より海外との協働による「コミュニティ・レストラン」プロジェクトに取り組んでいる。(報告:特定非営利活動法人NPO研修・情報センターフェロー 久保田裕美)

(1)背景
持続可能な循環型社会の形成は、地域レベルの課題であると同時に日米共通課題である。特に食に関わる問題は、環境問題・農業問題・産業構造問題など様々な社会問題と関連している。その解決に向けて、まず、各地域に住んでいる市民一人ひとりがエコロジカルな暮らしについて考え実践することが大切である。そのためには、食と農の市民活動に関わる、地域・コミュニティレベルでのネットワーキングをはかることが求められている。
 
○NPO研修・情報センターによる「コミュニティ・レストラン」プロジェクトの経過
1998年〜2000年 「地域弱者の雇用の場」をテーマとしたコミレス

2001年

「不登校児の出口づくりの場」としてのコミレス
2002年〜 

「地域循環型社会形成にむけて」=「エコ・コミュニティ・ レストラン」

NPO研修・情報センターは1998年から「コミュニティ・レストラン」プロジェクトを実施している。これまで、地域の女性の働く場として、障害者の就労の場として、不登校の子どもたちの出口づくりの場として、様々な社会的なテーマをコミュニティレベルで、NPOとして解決していくための方策としてコミュニティ・レストラン(コミレス)を展開してきた。その他にも、コミレスは、地域で仕事を見つけにくいシングルペアレントや、シェルターから出ようとしている女性などの就労支援など、雇用の形態においても柔軟に対応することができる。

 
2002年度からコミレスにエコロジカルな視点を特に重視したエコ・コミュニティ・レストラン(エコ・コミレス)に取り組んでおり、日米エコレス協働プロジェクトは、エコ・コミレスを日米NPOの交流の核として提案するものである。エコ・コミレスは食を通じて雇用や交流の場を地域に生み出す拠点となるユニークな場である。エコ・コミレスでは、循環型社会の実現にむけて、エコロジカルな暮らしとそのモデル、方法を市民が楽しく、分かりやすい形で体験、学習できる地域の核となる場であり、人々の生活と自然が共存できる環境に負荷の少ない持続可能な社会形成を目指す。
 
(2)目的
日米エコ・コミュニティ・レストラン協働プロジェクトは、次の5つの目的を持っている。
  1. 日本からはコミュニティ・エンパワーメントとしてのNPOによるエコレス運営のノウハウを、米国からはファーマーズ・マーケットをNPOが運営するノウハウを交換し、互いに学び、日米のNPOが協力して“食を”テーマにしたコミュニティ・エンパワーメントを推進するプログラムを開発する。
  2. 日本からエコ・コミレスの必要性、有効性を米国に提案し、エコ・コミレスのコンセプトの社会化をはかる。
  3. “食を”テーマにしたコミュニティ・エンパワーメントにむけて市民の意識形成や活動づくりにつながる具体的な場としてエコ ・コミ レスが機能するよう、エコ ・コミ レスをNPOとして起業運営できる人材の発掘と養成のきっかけづくりをする。
  4. 日米NPO団体の交流を通して、多様な市民の参加とNPOや地域団体(農業、商業等)、行政等とのネットワーキングのきっかけづくりをする。
  5. 日本でエコ ・コミ レスフォーラムを開催し、本プロジェクトが日米NPO協働モデルとして活用できるよう情報発信し、成果を社会化する。
 

2. 日米NPO協働のプロセス

企画立案から実施に至るプロセスは次の通り。
 

@日米コミュニティ・エクスチェンジ(JUCEE)のIPプログラムに参加

本プロジェクトのコーディネートを担った久保田裕美(NPO研修・情報センターフェロー)は、2002年2〜3月にかけて、JUCEEの米国NPOインターンシッププログラムに参加し、エコロジーセンターでインターンとして活動した。インターンを通じて、エコロジーセンターの運営するファーマーズ・マーケットが地域形成にどのように貢献しているか、またその他のプログラムについても活動を見ることができた。この時のインターンの経験が、バークレーにおけるコミュニティレベルでのネットワーキングを考える最初のきっかけとなった。帰国後、エコロジーセンターの活動を日本のNPO団体に紹介するなどの活動をしてきた。
 

A NPO研修・情報センターの「コミュニティ・レストラン」プロジェクトに関わる

 
米国バークレー市にある
エコロジーセンターは
25年以上の活動実績を
持つ環境NPO
米国NPOでのインターンの後、久保田は、2003年6月から特定非営利活動法人NPO研修・情報センター(団体英語名: NPO Training Resource Center)(TRC)の推進する「コミュニティ・レストラン」プロジェクトに、スタッフとして関わり、コミレスをNPOとして起業・運営する必要性、食を通じての顔の見えるネットワーキングのもつ可能性、日本の伝統的文化のもつ持続性をより多くの人に伝承していく必要性を実感してきた 。
 

B個々のつながりから、日米NPO間の協働へ

上述@、Aをふまえて、今回、JUCEEの日米NPOネクサスに応募することで、NPO研修・情報センター とエコロジーセンターの双方が、互いのノウハウや経験や情報を共有・交換し、両NPOのキャパシティビルディング(能力強化)を図ることができると考え、NPO研修・情報センターからエコロジーセンターに協働プロジェクトを提案し、協働事業へと発展させていくこととなった。

   

3. 実施報告

日米エコ・コミュニティ・レストラン協働プロジェクトの具体的な実施内容は、ワークショップとフォーラムで構成している。
 

@米国開催エコ・コミレスワークショップの実施

日時 2003年10月22日(水)開催
会場

エコロジーセンター (米国カリフォルニア州バークレー市)

基調講演 「エコ・コミュニティ・レストランとは」
講師 特定非営利活動法人NPO研修・情報センター代表理事
世古一穂
報告

「日米エコ ・コミ レス協働プロジェクト
〜“食”をテーマにしたコミュニティ・エンパワーメント〜」

報告者 特定非営利活動法人NPO研修・情報センターフェロー
久保田裕美
講演 「エコ・クッキングについて」、実践エコ・クッキング
講師 鈴木朋恵(でめてる店主)
エコロジーセンターでのワークショップ。多くの人がエコ・コミレスに興味を持ち参加していた
 
日時 2003年10月24日(土)開催
会場 バークレー・ファーマーズ・マーケット
(米国カリフォルニア州バークレー市)
基調講演 「エコ・コミュニティ・レストランとは」
講師 特定非営利活動法人NPO研修・情報センター代表理事
世古一穂
講演 「エコ・クッキングについて」、実践エコ・クッキング
講師 鈴木朋恵(でめてる店主)
 

A日本開催エコレス公開フォーラムの概要

日時 2003年12月13日(土)開催
会場 国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)
基調講演 「エコ・コミュニティ・レストランとは」
講師 特定非営利活動法人NPO研修・情報センター代表理事
世古一穂
協働プロジェクト
実施報告
「日米エコ ・コミ レス協働プロジェクト
〜“食”をテーマにしたコミュニティ・エンパワーメント〜」
報告者

特定非営利活動法人NPO研修・情報センターフェロー 久保田裕美

米国ゲストスピーカー報告 「米国カリフォルニア州バークレーで食をテーマにしたまちづくりの取り組み」
報告者 Nutrition Outreach Specialist(City of Berkeley)
ジョイ・モア(Joy Moore)
米国ゲストスピーカー報告 「事例報告:米国カリフォルニア州バークレーでの食をテーマにしたまちづくりの取り組み〜ファーマーズ・マーケットを活用した食農プログラム」
報告者 Farm Fresh Choice ProjectCoordinator(Ecology Center)、クリスティン・カードボムアング(Christine Cherdboonmuang)
Farmers Market Coordinator(Ecology Center) 、カリナー・セラナ(Karina Serna)
質疑応答・まとめ 「コミュニティ・レストランのもつ可能性」
コーディネーター 特定非営利活動法人NPO研修・情報センター代表理事 世古一穂
 
実施における両団体の役割分担は、米国でのワークショップに関しては、エコロジーセンターが、アウトリーチ及び会場準備を担当し、当日の進行はNPO研修・情報センターが担当した。また、日本でのフォーラムに関しては、アウトリーチ、会場準備、当日進行をNPO研修・情報センターが担当し、エコロジーセンターからは3名のスタッフが来日し、フォーラムでゲストスピーカーとして報告した。
  食をテーマにしたまちづくりの取り組みを語る、ジョイ・モアさん(左)と、 カリナー・セラナさん
 
 

4. 日米NPO協働の成果と課題

(1)日米NPO協働の全体の成果
米国でのワークショップ開催と日本でエコ ・コミ レス訪問、エコ ・コミ レス研修会参加などの経験を通じて、エコロジーセンタースタッフから、「バークレー市で、エコ ・コミ レスを実際に立ち上げたい」という声があり、NPO研修・情報センターは、そのニーズに応えられるよう支援したいと考えている。今回の協働作業を通して、NPO研修・情報センターとエコロジーセンター間の信頼関係を強めることができた。日米エコ ・コミ レス協働プロジェクトとして第一歩を踏み出し、さらなる協働の展開と可能性を見出すことができたことが、最大の成果と言える。
日米エコ ・コミ レス協働プロジェクトでは、次の4つの効果についての成果があった。

@訴求効果

A普及啓発効果

Bキャパシティビルディング効果

C事業発展効果


以下に詳細を述べる。
 
@ 訴求効果
今回の協働プロジェクトで実施した米国ワークショップに関して、エコロジーセンターがアウトリーチを担当した。エコロジーセンターは、カリフォルニア州で最初に新聞のリサイクルを始めたことでも知られ、25年以上の活動実績を持つ環境NPOである。
また、バークレー・ファーマーズ・マーケットの12年以上の運営実績を持つNPOである。これらエコロジーセンターの持つ地域に広がる多様なネットワークを活用し、バークレー市及びベイエリア周辺の地域に向けて、広く告知・情報発信することができた。
エコロジーセンターを通してのアウトリーチ活動により、循環型社会形成にむけての日米の取り組みが行われることを情報発信し、関心を広げることができたと考える。
両ワークショップについて、エコロジーセンターへの問い合わせが多数あったということで、米国でも循環型地域社会に向けて、エコ・コミレスへの取り組みに対する関心はとても高いと言える。

A 普及啓発効果
2003年10月22日に米国カリフォルニア州バークレー市のエコロジーセンターで、25日にバークレー・ファーマーズ・マーケットでエコ・コミレスワークショップを開催した。
両ワークショップには述べ150人以上の米国の人々が参加した。参加者は市民、農業者、レストラン経営者、NPOスタッフ、学生、メディア関係者など、老若男女、他業種に渡る多様な人々が参加し、バークレー市だけでなくサンフランシスコ市からの参加者もあった。
2回目のエコ・コミレスワークショップの会場となった、バークレー・ファーマーズ・マーケットは、ファミリーファーム(小規模農家)支援だけでなく、地域に根ざしたコミュニティの拠点となり、人々が集まる憩いの場として毎週多くの地域の人々が訪れている。バークレー・ファーマーズ・マーケットでの、エコ・コミレスワークショップでは、楽しく学べる環境教育の場としてのエコ・コミレスの機能を実践のワークショップを通して示すことができた。
当日は、天候に恵まれ、多くの参加者が熱い直射日光の下にもかかわらずエコ・コミレスの話に熱心に耳を傾けた。「レストランというとビジネスの印象が強いが、エコ・コミレスの食を通じた地域づくりについて、ただ食べ物を提供するというのでなく、地域の課題やニーズに対応できるエコ・コミレスのコンセプトが興味深かった」という意見など、共感をもってエコ・コミレスのコミュニティ・エンパワーメントというコンセプトは、バークレーのコミュニティの人々に受け入れられたと思う。

B キャパシティビルディング(力量形成)の効果〜米国でのボランティアスタッフのキャパシティビルディング
米国でのべ2回実施したエコ・コミレスワークショップには、エコロジーセンターのファーム・フレッシュ・チョイスというプログラムに参加している地域の青少年のメンバー(3名)が、エコロジーセンタースタッフのコーディネートのもと、積極的に協力、参加する様子が見られた。彼らは、主にアウトリーチ活動のサポート、ワークショップ当日の会場準備・後片付けなどを担当した。特にエコロジーセンターで開催したワークショップの会場準備では、スムーズに進行するうえで、ボランティアによるサポートが重要な役割を果たしていた。また、彼ら自身にとってはジョブトレーニングの機会となった。
Think Globally Act Locally
2003年12月13日(土)、これまでの本プロジェクトについて情報発信し成果を共有するための「日米エコ・コミレス公開フォーラム」を東京で開催した。当日はNPOスタッフ、コミュニティ・レストラン実践者、日米 NPO 協働に関心のある人、エコ・コミレスに関心のある人、主婦、学生など約40人が参加した。
フォーラムでは、コミ・コミレスのコンセプトと機能役割についての講演と、米国でのエコ・コミレスワークショップの様子や成果の報告、そしてエコロジーセンターのスタッフ3名による、ファーマーズ・マーケットや、食育プログラムなど、バークレー市の食を通じた地域づくりの取り組みについてのプレゼンテーションを行った。
参加者より、「米国は豊かな国という印象がこれまであったが、バークレー市の課題を聞き、ニュースでは知ることのできないもう一つの米国を知ることができた」というコメントが聞かれた。顔と顔の見える距離で交流することにより、互いの課題が他人事ではなく、自分自身にも関わりのある問題として気づくきっかけづくりとなったといえる。

C 事業発展効果〜エコ・コミレスワークショップ開催が生み出した新たな可能性
当初、エコロジーセンタースタッフ側は、バークレー・ファーマーズ・マーケットでのワークショップ開催について難色を示していた。それは、「ワークショップをファーマーズ・マーケットで開催していても、買物客が足を止めて話を聞くとは考えにくい」「以前にファーマーズ・マーケットで食育プログラムを PR するイベントをやったが成功しなかった」という理由があった。しかし、エコ・コミレスワークショップ開催当日には、予想を越える多くの人が参加してくれた。
NPO研修・情報センター は、エコ・コミレスワークショップで、体験学習の場、参加者が楽しく学べる場をつくった。やり方次第でワークショップを成功させることができるということを明示できたと言えよう。 NPO研修・情報センター の持つワークショップの組み立て方のノウハウを、エコロジーセンタースタッフは、「新たな可能性を見出すことができた。」と評価している。 NPO研修・情報センター とエコロジーセンターの持つノウハウを交換することで、互いのキャパシティビルディングを図ることができた。
 
さらなる協働にむけての展開の可能性
エコロジーセンタースタッフから、「バークレーでも、エコ・コミレスを開きたい」という要望が聞かれた。今回の協働をステップとし、エコ・コミレス実現へと発展する可能性を見出すことができた。
米国で開催したエコ・コミレスワークショップに、述べ150人を超える参加者があった。エコ ・コミ レスに対する米国の反響の多さは、予想以上の成果と言える。その主な理由として、2つの事項の相互作用が考えられる。
  1. NPO研修・情報センターとエコロジーセンターと事前に何度も連絡調整し、丁寧にコミュニケーションを取りながら準備を進めていたこと
  2. バークレー市周辺で、地域に根ざしたアウトリーチを日米NPO協働でしたこと。具体的には、バークレー市のコミュニティラジオでイベント告知をしたり、地域のレストラン、NPO団体、大学などにポスターを掲示したり、バークレー・ファーマーズ・マーケットにてチラシを配布したり、エコロジーセンターのネットワークを活用したイーメールの告知などができた。
ファーマーズ・マーケットでの
屋外ワークショップも大成功
 

(2)特定非営利活動法人NPO研修・情報センターにとっての3つの成果

NPO研修・情報センターにとっての本協働プロジェクトの成果は次の3つがあげられる。
  1. エコ・コミレスが、地域のエンパワーメントにむけての実践モデルとして、日本だけでなく米国でも有効な汎用性のあるプログラムであるという可能性を示唆する結果となった。
  2. 顔と顔の見える距離での日米NPO同士の協働により、日本と米国における地域の現状と課題について、情報を交換、共有することができ、日米双方のNPOのキャパシティビルディングへとつながった。
  3. コミュニティ・エンパワーメントの実践としてエコ・コミレスが有効であり、エコ・コミレスの可能性について、エコロジーセンターと共通の目標を持つことができ、日米NPO協働事業の今後の展開につながる新たな可能性を開くことができた。
 
(3)地域の人々、エコレストランを起業・運営したいと思っている人々にとっての2つの利点

本協働プロジェクトは、地域の人々、エコ・レストランを起業・運営したいと思っている人々にも、次のようなインパクトを与えることができた。

  1. 日米で開催したイベントの参加者にとっては、エコ・コミレスのコンセプトや機能について、詳しく理解することでき、地域の課題解決するための具体的行動につながる、多様な選択肢を得ることができた。
  2. 国際交流により、日本と米国の地域の現状や課題など、コミニュティレベルでの情報を知ることができ、視野を広げることができた。
 
(4) 日米NPO協働プロジェクトを実施して 直面した 課題

意思疎通に関して、語学面での難しさは協働作業を行うにあたり、少なからず直目した問題と言える。例えば、「ワークショップ」という単語のひとつの使い方を見ても、はじめは言葉から伝わる内容に違いがあったということもあった。そのため、写真やコンセプトチャート等ビジュアルなコミュニケーションツールを活用し互いの理解に努めたという状況があった。
しかし、その後、実践ワークショップなどを通じてエコ・コミレスを体験し、互いのコミュニケーションを重ねていくうちに理解が深まり、意思疎通が速やかとなり、協働プロジェクト推進がスムーズとなった。

 
 

5. 日米NPO協働から学んだこと

NPO研修・情報センター とエコロジーセンターとの協働のコーディネートを通して習得したことは、以下の3つである。

(1) NPO同士が国際的な協働を進める上でのプロセスづくり

 2003年春、協働プロジェクトとしてスタートする以前に、顔と顔の見える距離で NPO研修・情報センター のスタッフとエコロジーセンターの事務局長やスタッフによる、話し合いを行った。協働プロジェクトに発展した後も、電話会議を何度も行い、直接にコミュニケーションを図ってきた。協働に至るまでに、双方の間の信頼関係と協力体制 ( 人材や資金面など ) の強化が不可欠である。
 2003年秋に、 NPO研修・情報センター スタッフが渡米し、エコ・コミレスのコンセプト、機能、役割を伝えるワークショップを開催した。ワークショップでは、儀礼的にプレゼンテーションを行うのではなく、参加した人にも一緒に考えてもらい、楽しんで加してもらえる内容を企画した。ワークショップでは、実際に地域の食材を使って料理したものを、参加者に味わってもらい、エコ・クッキングの実践を体験から学んでもらうという場を作った。エコ・クッキングのデモンストレーションを行うにあたっては、エコロジーセンタースタッフの自宅にて、ワークショップのための準備をさせてもらうなど NPO研修・情報センター スタッフとエコロジーセンタースタッフと、少しずつ交流を重ねてきた。
 2003年冬に、エコロジーセンタースタッフが来日した時には、フォーラムに参加するだけでなく、都内のコミレスを訪問したり、地域を見て回ったり、東京で開催されたエコレス研修に参加するなど、意欲的に日本の社会や文化を体験し、見たこと聞いたことなどの情報を吸収する様子が伺えた。
 
(2) 協働の質を高めるうえで不可欠な信頼関係の構築

 上記(1)のような協働過程があり、少しずつエコロジーセンターと NPO研修・情報センター との間で、協働の密度が高まっていった。 NPO研修・情報センター は、エコ・コミレスのマネジメントや、ワークショップの組み立て方のノウハウを、エコロジーセンターは、地域へのアウトリーチや、ファーマーズ・マーケットを NPO が運営するノウハウを、それぞれ活かすことによって、相互作用がうまれ、より密度の高い協働へとレベルアップすることができたと考える。
 まず互いの信頼関係を構築したうえで、協働作業を進めることが重要である。そのために、当方の意図を明確に伝え、常にコミュニケーションを図ることを心がける必要があるとことを学んだ。また、それぞれの役割分担を明確にすることも重要である。役割を明確にした上で、役割分担した部分のみを把握していることがないよう、全体の過程を含めて、パートナー団体とプロジェクトの進行状況について情報を更新、共有することが重要であるということを、協働過程を通して学んだ。

 
(3) 双方の強みとノウハウを活かした協働モデル展開の可能性
 NPO研修・情報センター は、エコ・コミレスマネジメントとワークショップの組み立て方についてのノウハウを、エコロジーセンターは、バークレー・ファーマーズ・マーケットを NPO が運営するノウハウを持って、今回の日米エコレス協働プロジェクトに取り組んだ。その結果、どちらか一方から学ぶという姿勢ではなく、互いの強みやノウハウを活かした協働を進めることによって、次のステップが明確になり、共通の目標を得ることができるということを経験的に習得することができた。
 

6. 今後の展開

 次のステップとしては、今回、日米両者が共通に感じることのできた食を通じたまちづくりの可能性についてより実践レベルでの交流を深め、「エコ・コミレスは、とても発展的、効果的で柔軟性があり、かつ地域への教育効果も発揮できるモデルだ」、「バークレーでもエコ・コミレスを開きたい」とのエコロジーセンタースタッフからの申し出に対して NPO研修・情報センター からサポートしていき、また、日米NPOの協働から学んだことを活かし今後のさらなる「コミュニティ・レストラン」ネットワークの広がりを図りたい。
今後の課題としては、次の3つがある。
  1. バークレー市でのエコ・コミレス実現にむけてのサポートと、そのための継続的な TRC 側の体制づくり(資金、人材等)
  2. 日米のエコ・コミレスの情報を共有するエコ・コミレスネットワークの拡充
  3. 2.のための、成果と情報を共有できる仕組みづくり(ITの活用、英語版エコ・コミレス HP の作成等)
これらの課題に取り組み、今回の協働プロジェクトをきっかけにさらなる展開を図りたいと考えている。
 
 
 
 
 
日米エコレスフォーラムにために来日したエコロジーセンターのスタッフは、滞在中積極的にコミュニティ・レストランや農家を訪問していた
 
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7.報告書

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